shaitan's blog

長文書きたいときに使う.

東大2010年前期理系問題1

3辺の長さがabcの直方体を,長さがbの1辺を回転軸として90°回転させるとき,直方体が通過する点全体がつくる立体をVとする.
(1)Vの体積をa,\ b,\ cを用いて表せ.
(2)a+b+c=1のとき,Vの体積のとりうる値の範囲を求めよ.

(1)
長さがbの1辺に垂直な平面で切った図形は,半径\sqrt{a^2+c^2},中心角\dfrac\pi2の扇型にa,\ cを隣辺とする直角三角形を2つつけたものであるから,面積は\dfrac\pi4(a^2+c^2)+ac
従ってVの体積はb\left\{\dfrac\pi4(a^2+c^2)+ac\right\}.
(2)
a+c=x,\ |a-c|=yとおくと0\leq y< x<1であり,体積W(x,y)W(x,y)=(1-x)\left\{\dfrac\pi8(x^2+y^2)+\dfrac{x^2-y^2}4\right\}
\pi>2よりy^2の係数は正であるからW(x,y)< W(x,x)
相乗平均≦相加平均の関係より,W(x,x)=\pi(1-x)\left(\dfrac x2\right)^2\leq\pi\left\{\dfrac{(1-x)+\frac x2+\frac x2}3\right\}^3=\dfrac\pi{27}であり,等号成立はx=\dfrac23
W(x,y)は体積であり0でないことと合わせて0< W(x,y)<\dfrac\pi{27}…☆が必要.
ここで,W(x,y)x,\ yに関して連続であり,W(0,0)=0,\ W(\frac23, \frac23)=\frac\pi{27}であるからW(x,y)は☆の範囲の任意の値をとりうる.

東大2001年前期文系問題1

白石180個と黒石181個の合わせて361個の碁石が横に一列に並んでいる.
碁石がどのように並んでいても,次の条件を満たす黒の碁石が少なくとも1つあることを示せ.

その黒の碁石とそれより右にある碁石をすべて除くと,残りは白石と黒石が同数となる.
ただし,碁石が1つも残らない場合も同数とみなす.

左からn個までの碁石のうち黒石であるものの数から白石であるものの数を引いた値をa_nとおく.
a_0=0-0=0なので「a_{k-1}\leq0ならばa_k\leq0」が常に成立すればa_{361}\leq0だがa_{361}=181-180=1より矛盾.
よってa_{k-1}\leq0かつa_k>0なるkが存在するが,a_nは1ずつ増減するのでa_{k-1}=0,\ a_k=1
このとき,k番目の石は条件を満たす黒石である.

東大2000年前期理系問題1

AB=AC, BC=2 の直角二等辺三角形ABCの各辺に接し,ひとつの軸が辺BCに平行な楕円の面積の最大値を求めよ.

適当なkを選び,この図形をBC方向にk倍,BCと垂直方向に\dfrac1k倍すれば楕円が円に移るようにする.
この円をOとおくと,Oの面積はもとの楕円の面積に等しい.
この変換で△ABCは円Oを内接円とする二等辺三角形Tに移り,Tの面積は△ABCの面積つまり1に等しい.
Oの半径r,Tの周長をsとおくと\dfrac{rs}2=1
Tの三辺の長さをx,y,zとおくと,ヘロンの公式と相乗平均≦相加平均より1=\dfrac{\sqrt{s(s-2x)(s-2y)(s-2z)}}{4}\leq\dfrac{\sqrt s}4\cdot\sqrt{\left(\dfrac s3\right)^3}= \dfrac{s^2}{12\sqrt3}=\dfrac1{3\sqrt3r^2}.
等号成立はx=y=zのときで,このとき最初に施した変換と逆の変換を施せば確かに題意を満たす楕円が存在する.
従って求める面積の最大値は\pi r^2の最大値に等しく,\dfrac\pi{3\sqrt3}=\dfrac{\sqrt3}9\pi

東大1999年前期理系問題5

(1)k自然数とする.mm=2^kとおくとき,0< n< mを満たすすべての整数nについて,二項係数\def\C#1#2{{}_{\vphantom{#2}#1}\mathrm C_{\vphantom{#1}#2}}\C mnは偶数であることを示せ.
(2)以下の条件を満たす自然数mをすべて求めよ.
条件:0\leq n\leq mを満たすすべての整数nについて二項係数\C mnは奇数である.

(1)
n\cdot\C{2^k}n=2^k\cdot\C{2^k-1}{n-1}.
0< n<2^kよりn2^kで割り切れないので\C{2^k}nは偶数.
(2)
自然数kについて,\C{2^k-1}{n-1}+\C{2^k-1}n=\C{2^k}n\quad(0< n<2^k)および(1)の結果より\C{2^k-1}nの偶奇はnによらず等しく,\C{2^k-1}0=1であるから全て奇数.よってm=2^k-1と書けるmは条件を満たす.
また,m=2^k-1と書けないとき,適当なkをとって2^k< m+1<2^{k+1}が成り立つようにできる.
ここで(m+1)\cdot\C m{2^k-1}=2^k\cdot\C{m+1}{2^k}より\C m{2^k-1}は偶数なのでmは条件を満たさない.
以上より求めるmm=2^k-1(k:自然数).

東大1997年前期理系問題2

nを正の整数,aを実数とする.すべての整数mに対して
m^2-(a-1)m+\dfrac{n^2}{2n+1}a>0
が成り立つようなaの範囲をnを用いて表せ.

左辺をf(m)とおく.
0< f(0)=\dfrac{n^2}{2n+1}aより0< a
0< f(n)=(n^2+n)\left(1-\dfrac a{2n+1}\right)よりa<2n+1
これらより0< a<2n+1が必要.
k=\dfrac{a-1}2とおくと,
f(m)=(m-k)^2-k^2+\dfrac{n^2}{2n+1}(2k+1)=(m-k)^2+\dfrac{(n+k+2nk)(n-k)}{2n+1}であるから,
0< k< nつまり1< a<2n+1のときはf(m)>0が成立する.
また,0< a\leq1のとき,f(m)\geq f(0)>0より十分なので,あわせて0< a<2n+1ならば十分.
以上より求めるaの範囲は0< a<2n+1

東大1983年理系問題2

数列\{a_n\}において,a_1=1であり,n\geq2に対してa_nは,次の条件(1),(2)をみたす自然数のうち最小のものであるという.
(1) a_nは,a_1,\ldots,\ a_{n-1}のどの項とも異なる.
(2) a_1,\ldots,\ a_{n-1}のうちから重複なくどのように項を取り出しても,それらの和がa_nに等しくなることはない.
このとき,a_nnで表し,その理由を述べよ.

a_2=2は偶数である.
あるk>1が存在し,a_i\quad(1< i< k)が偶数でa_kが奇数であると仮定する.
a_k-1は偶数なので,a_2,\ldots,\ a_{k-1}から項を重複なく取り出した和として表せるが,これにa_1を加えるとa_kになり矛盾.
従ってa_i\quad(i>1)は偶数.
ここで数列\left\{\dfrac{a_{n+1}}2\right\}を考えると,これはa_nと同じ条件を満たす.
このような数列は一意であるから\dfrac{a_{n+1}}2=a_na_1=1よりa_n=2^{n-1}

京大2010年前期理系甲問題3

xを正の実数とする.座標平面上の3点A(0,1),B(0,2),P(x,x)をとり,△APBを考える.
xの値が変化するとき,∠APBの最大値を求めよ.

Bから直線y=xに下ろした垂線の足をHとおくとH(1,1)であり,BHを直径とする円はAを通る.
∠APBが最大となるのは,△APBの外接円の直径dが最小となるときで,d≧BP≧BHより求める最大値は∠AHB=\dfrac\pi4