shaitan's blog

長文書きたいときに使う.

東大2016年前期理系問題1

e自然対数の底,すなわちe=\lim\limits_{t\to\infty}\left(1+\dfrac1t\right)^tとする。
すべての正の実数xに対し,次の不等式が成り立つことを示せ。
\left(1+\dfrac1x\right)^x < e < \left(1+\dfrac1x\right)^{x+\frac12}

補題「数列\{a_n\}が単調増加で\lim\limits_{n\to\infty}a_n=\alphaのとき、\alpha > a_0」を示す。
1より大きい任意のnに対しa_n >a_1なので\alpha=\lim\limits_{n\to\infty}a_n\geq\lim\limits_{n\to\infty}a_1=a_1 > a_0

ここで、a_n=\left(1+\dfrac1{2^nx}\right)^{2^nx}を考える。
a_{n+1}= \left(1+\dfrac1{2^{n+1}x}\right)^{2(2^nx)}=\left(1+\dfrac1{2^nx}+\dfrac1{2^{2n+2}x^2}\right)^{2^nx} > a_nより\{a_n\}は単調増加。
さらに\lim\limits_{n\to\infty}a_n=eであるから、補題よりe > a_0 = \left(1+\dfrac1x\right)^x

また、f(x)=\left(1+\dfrac1x\right)^{x+\frac12}x_0=x, x_{n+1}=2x_n+\dfrac12とおき、b_n=-f(x_n)とする。
b_{n+1}=-\left(1+\dfrac1{x_{n+1}}\right)^{2(x_{n}+\frac12)}=\cdots=-\left(1+\dfrac1{x_n+\frac14}\right)^{x_{n}+\frac12} > b_n より\{b_n\}は単調増加。
さらに\lim\limits_{n\to\infty}\left(1+\dfrac1{x_n}\right)^{x_n}=eかつ\lim\limits_{n\to\infty}\sqrt{1+\dfrac1{x_n}}=1より\lim\limits_{n\to\infty}b_n=-e\cdot1=-eであるから、補題より-e > b_0。つまりe < -b_0=f(x_0)=\left(1+\dfrac1x\right)^{x+\frac12}


高校範囲だと極限をどう扱うのかよく分かってない。こういう解答だとバツかも。
なるべく計算量が少なくなるように頑張ったつもり(二乗の展開と分数の足し算くらい?)。

今月の問題、今月のうちに

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十分性の証明

↓背景色と同じにすればいいか

正六角形の一辺の長さが3の倍数のとき、対角線の長さは6の倍数であり、
松竹梅のそれぞれと対角線との共有部分の辺の本数はいずれも同じであり偶数本となる。
よってハニカム格子上で偶数本の辺からなる連結な図形は折れ線により構成可能であることを示せば十分。
辺の本数による帰納法で示す。2本の場合自明。k本以下の場合に可能であると仮定し、k+2本の辺から構成された連結な図形を考える。
(i)ちょうど2本の辺に共有される頂点が存在する場合
この頂点Pを含む折れ線を取り除いた図形Xを考える。
Xが連結な場合、いずれも偶数本の辺からなる2つの連結な部分からなる場合はいずれも帰納法の仮定からもとの図形も構成可能。
Xがいずれも奇数本の辺からなる2つの連結な部分からなる場合、
もとの図形をPで分割するとそれぞれが偶数本の辺からなる連結な図形となるので帰納法の仮定からもとの図形も構成可能。
(ii)それ以外
分岐が存在し、その分岐点をOとする。Oに隣接する3頂点をA,B,Cとし、Aからは辺AO以外の辺が出ているとしてよい。
辺OAが辺OB,辺OCとつながっていないとした場合にも図形が連結であれば(i)に帰着される。
図形がいずれも偶数本の辺からなる2つの連結な部分に分かれる場合は帰納法の仮定からもとの図形も構成可能。
図形がいずれも奇数本の辺からなる2つの連結な部分に分かれる場合は点Oの代わりに点Aで分割すればよい。

↑おわり。
大したこと言ってないくせに、ちゃんと書こうとするとどう書いていいかよく分からない(用語がおかしい部分があると思う)上に面倒くさい(多少ごまかした)。
場合分けをどうすれば簡単になるかをずっと考えてたんだけどもうこれで妥協した。
高級な概念を使うと一瞬で解けそうな気もするがそういうのは数学ができる人に任せる。

数学の入社試験を見た(見ただけ)を見た(見ただけ)

nloglogn.hatenablog.com
必要性の証明の別解

↓背景色と同じにすればいいか

一辺の長さnの正六角形が折れ線で作れるとする。
三角格子はハニカム格子三つでできている。それぞれの格子と正六角形の共通部分を「松」「竹」「梅」とする。
折れ線の二辺は同じハニカム格子に属するため、松竹梅はいずれも折れ線で作れる。従って松竹梅の辺はいずれも偶数本。対称性から正六角形の対角線と松竹梅それぞれの共通部分の辺はいずれも偶数本。
正六角形の対角線上の松竹梅の辺の本数の差はいずれも1以下であるから、辺の本数はいずれも等しい。これより対角線の長さ2nは3の倍数となるのでnは3の倍数。

↑おわり。

前の記事のタイトルは「インテル入ってる」の方が良かったかなって思った


2^(n+1)個の自然数をa[1]≦a[2]≦…≦a[2^n]≦b[1]≦b[2]≦…≦b[2^n]とおき、2≦a[2^n]であるとする。
Πa[k]≧a[2^n]≧2 (k=1,2,...,2^n。以下、総和および総積の範囲はこれと同じなので省略する。)。
2≦b[k]であるから、Πb[k]≧2^(2^n-1)b[2^n]≧2^(C[n,0]+C[n,1]-1)b[2^n]=2^nb[2^n]≧Σb[k]。(ただしC[i,j]は二項係数)
これらより、Σa[k]+Σb[k]≦2Σb[k]≦(Πa[k])(Πb[k])。
左側の等号成立にはΣa[k]=Σb[k]が必要である。
ここで、定義よりa[k]≦b[k]であるからこの等号がすべて成立している。
特にa[1]=b[1]≧2なのでΠa[k]≧a[2^n]*a[1]=4>2となり右側の等号は成立しない。
以上からΣa[k]+Σb[k]=(Πa[k])(Πb[k])のときa[2^n]=1、つまり任意のkについてa[k]=1。
従って、2^(n+1)個の自然数の和と積が等しいとき、少なくとも2^n個は1である。

299792458は9桁だったからダメだった

f(n)を以下のように定義する。
ある自然数nを一の位から3桁ごとに区切り、区切った3桁の数を「位が下だった方から」交互に足し引きしてできた数
例: 9192631770 → 9,192,631,770 → 770-631+192-9=322 なのでf(9192631770)=322。
(問題文の事象Aで計算される値とは符号が変わる場合があることに注意)

以下、mとnを7で割ったあまりが等しいことをm≡nと書くことにする。
事象A⇔f(N)が7の倍数」に注意すると、f(n)≡nの成立を示せば十分。

n<1000のとき明らか。
n< kのとき成立を仮定し、
k=1000a+b (0≦b<1000)とおく。
定義および仮定よりf(k)=f(b)-f(a)≡b-a。
また、k=1000a+b=1001a+b-a≡b-aであるからn=kのときも成立。
よって数学的帰納法により任意のnに対しf(n)≡n。

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shaitan.hatenablog.com

m=nは明らか。
m< nのときm=ga, n=gb, (a< bは互いに素)とおく。
(ga)^n=(gb)^mよりg^(n-m)a^n=b^mだが、aとbは互いに素なのでa=1。
これを代入して両辺のm乗根をとるとg^(b-1)=b。
b>1よりg>1であり、{g^{b-1}=\displaystyle\sum_{k=0}^{b-1}\binom{b-1}k(g-1)^k\leq\binom{b-1}0+\binom{b-1}1=b}
等号成立はb-1=1かつg-1=1のとき、つまり(m,n)=(2,4)のとき。
m>nのときも同様なので、あわせて(m,n)=(2,4),(4,2),(k,k) (kは任意の自然数)

箱ティッシュの最初に二組取れちゃうのがなんだかもったいない

m=nは明らか。以下、m< nとする。
x>0で{f(x)=x^{\frac1x}}とおく。f(n)=f(m)となる(m,n)を求めればよい。
{f'(x)=f(x)(\log f(x))'=\dfrac{f(x)}{x^2}(1-\log x)}であるから、
f(x)はx< eで単調増加、x>eで単調減少。
従って、f(m)=f(n)であるためにはm< e< nが必要。
このとき、f(n)>n^0=1=f(1)より、m=2。
よって、n^2=2^nなるn(>e)を求めれば良い。
n=4はこの条件を満たす。
x>eでf(x)は単調減少なので、f(n)=f(2)を満たすn>eは高々一つであるから他のnは条件を満たさない。
m>nも同様であるから、以上をまとめて求めるm,nの組み合わせは(m,n)=(2,4)(4,2)(k,k) (kは任意の自然数)。