shaitan's blog

長文書きたいときに使う.

東工大11年AO II-1

g(x)=x^2+1とおくと、題意の条件はf\circ g(x)=g\circ f(x)と書ける。
また、g(x)-x=(x+\frac12)^2+\frac14>0よりg(x)>x……(*)。
g_0(x)=x, g_{k+1}(x)=g(g_k(x))とおくとg_k(x)は条件を満たす2^k次の多項式である。
以下、2^k (k=0,1,\ldots)次でないf(x)が存在しないことを示す。

0=f(g(x))-f(g(-x))=(f(x)-f(-x))(f(x)+f(-x))であるが、f(x)\pm f(-x)多項式であるからいずれか一方は恒等的に0である。
つまり、f(x)nの偶奇により偶関数か奇関数かのいずれかとなる。

(i)f(x)が奇関数のとき
f(0)=0であるから、f(g_k(0))=g_k(f(0))=g_k(0)となる。
ここで(*)よりg_k(0)の値は異なるkに対し相異なる。
従って、恒等的にf(x)=xであり、n=1=2^0である。

(ii)f(x)が偶関数のとき
(*)よりf(x)は定数関数ではないのでn>1
f(x)x^2=g(x)-1多項式として表せる。つまりg(x)多項式として表せる。
f(x)=h\circ g(x)とおくとh(x)\frac n2次の多項式であり、
f(x)の満たす条件に代入して h\circ g\circ g(x)=g\circ h\circ g(x)であるが、g(x)は1以上の任意の値をとるので恒等的に h\circ g(x)=g\circ h(x)
となるのでこれを繰り返すと条件を満たす奇数次の多項式が得られるが、(i)よりそれは恒等関数であるためn2^kと書ける。

東大1968年前期理系問題2(文系問題2)

正方形ABCDを底面とし、Vを原点とする正四角錐において、底面と斜面のなす二面角が45°のとき、となりあう二斜面のなす二面角を求めよ。

このABCDを一面とし、この四角錐V-ABCDを含む立方体ABCD-EFGHを考える。
底面と斜面のなす二面角が45°なので面ABVと面BCVはいずれも点Hを含むので点VはBH上にある。同様に点VはAG上にもあることが言えるので、点Vはこの立方体の中心である。
BHを軸にこの立方体を120°回転させると元の立方体に移るが、このとき、点Aが点Cに移るようにできる。
この操作により点V,Bは変化しないので面VABがVCBに移る。
従ってとなりあう二斜面VABとVCBのなす二面角は120°である。



立方体まではいいのだが、その後の日本語をどう書くかというのは悩ましい。
合同な四面体V-ABFEとV-BCGFをもってきて、面EACでの断面を考える方が良かったのかも。

京大2017年前期理系問題5

a≧0とする.
0\geq x\geq\sqrt2の範囲で曲線y=xe^{-x}, 直線y=ax, 直線x=\sqrt2によって囲まれた部分の面積をS(a)とする. 
このとき, S(a)の最小値を求めよ.
(ここで「囲まれた部分」とは, 上の曲線または直線のうち2つ以上で囲まれた部分を意味するものとする.)

直線\ell:y=xe^{-1}と曲線C:y=xe^{-x}の位置関係を考える。
\dfrac xe-xe^{-x}=x(e^{-1}-e^{-x})であるから、これらは点(0,0)と(1,e^{-1})を共有し、0< x<1の範囲ではCは\ellの上にあり、1< xでは\ellはCの上にある。

求める囲まれた部分のうち、y>axにあるものとy< axにあるものに分け、それらの領域をそれぞれA_1(a), A_2(a)、面積をそれぞれS_1(a), S_2(a)とする。そのような部分が存在しない場合は領域は空集合、面積は0とする。
直線\ellとy=axとx=1で囲まれた三角形と直線\ellとy=axとx=\sqrt2で囲まれた三角形は相似であり、相似比は1:\sqrt2であるから、直線\ellとy=axとx=1で囲まれた三角形と直線\ellとy=axとx=1とx=\sqrt2で囲まれた四角形の面積は等しい。この面積をS'とおく。
a>e^{-1}のとき、
A_1(a)A_1(e^{-1})に含まれ、A_1(e^{-1})からA_1(a)を取り除いた領域は直線\ellとy=axとx=1で囲まれた三角形に含まれるからS_1(a)-S_1(e^{-1})>-S'である。
同様にS_2(a)-S_2(e^{-1})>S'が言えるのでS(a)>S(e^{-1})
a< e^{-1}のとき、同様の議論によりS(a)>S(e^{-1})
従って、求める最小値はS(e^{-1})。以下、積分計算を行えば求まる。



これは図を描いた方が分かりやすいよなあ(描く気はない)。

東工大2017年前期問題2

実数xの関数\displaystyle f(x)=\int_x^{x+\frac\pi2}\frac{|\sin t|}{1+\sin^2t}dt の最大値と最小値を求めよ.

g(t)=\dfrac{|\sin t|}{1+\sin^2t}とおくと、g(t+\pi)=g(t), g(\pi-t)=g(t)である。
f(x+\pi)=\displaystyle\int_{x+\pi}^{x+\pi+\frac\pi2}g(t)dt=\int_{x}^{x+\frac\pi2}g(s+\pi)ds=f(x)\quadt-\pisに変数変換)。
従ってf(x)は周期πの周期関数であるから、-\dfrac\pi4\leq x< \dfrac{3\pi}4の範囲で考えればよい。
更にf\left(\dfrac\pi2-x\right)=\displaystyle\int_{\frac\pi2-x}^{\pi-x}g(t)dt=-\int_{x+\frac\pi2}^{x}g(\pi-s)ds=f(x)\quad\pi-tsに変数変換)。
であることに注意すると、-\dfrac\pi4\leq x\leq\dfrac\pi4の範囲で考えればよい。
ここで
f(x)-f\left(-\dfrac\pi4\right)=\displaystyle\int_{\frac\pi4}^{x+\frac\pi2}g(t)dt-\int_{-\frac\pi4}^xg(t)dt=\int_{-\frac\pi4}^x\left\{g\left(t+\dfrac\pi2\right)-g(t)\right\}dt
であり、
g\left(t+\dfrac\pi2\right)-g(t)=\dfrac{|\cos t|}{1+\cos^2t}-\dfrac{|\sin t|}{1+\sin^2t}=\dfrac{(|\cos t|-|\sin t|)(1-|\cos t||\sin t|)}{(1+\cos^2t)(1+\sin^2t)}となるが、-\dfrac\pi4\leq t\leq\dfrac\pi4の範囲でこれは非負である。
これよりf(x)\geq f\left(-\dfrac\pi4\right)なので最小値はf\left(-\dfrac\pi4\right)。同様に最大値はf\left(\dfrac\pi4\right)となることが言える。
\cos tを変数変換して部分分数分解すると積分できるが計算及び答えは省略する。


増減表もあまり好きではない。そもそもこの環境でどう書くのが良いか調べてない。

京大2017年前期理系問題3

p,qを自然数, \alpha,\beta\tan\alpha=\dfrac1p,\quad \tan\beta=\dfrac1q
を満たす実数とする. このとき,
\tan(\alpha+2\beta)=2
を満たすp,qの組(p,q)をすべて求めよ.

\tan\beta=\dfrac1q\neq0より\sin\beta\neq0であるから、
\tan2\beta\cos2\beta=\sin2\betaの両辺を\sin^2\betaで割って\tan2\beta(1-\tan^2\beta)=2\tan\betaとなる。
これより\tan2\beta=\dfrac{2q^{-1}}{1-q^{-2}}=\dfrac{2q}{q^2-1}である。
ここで、\tan(\alpha+2\beta)=2ならば\tan2\beta=\dfrac{\tan(\alpha+2\beta)-\tan\alpha}{1+\tan(\alpha+2\beta)\tan\alpha}=\dfrac{2p-1}{p+2}(☆)が成立する。
さて、\tan2\betaを既約分数\dfrac abで表すことを考える。aは2p-1の約数なので奇数であるから\dfrac{2q}{q^2-1}は2で約分できる。また、q^2-1とqは互いに素であることに注意すると、a=q, b=\dfrac{q^2-1}2
q^2-1が偶数であることよりqは奇数なのでq≧3であるから、
\dfrac{2p-1}{p+2}=\dfrac{2q}{q^2-1}= \dfrac{2}{q-1}\cdot \dfrac{q}{q+1}<1\cdot1=1よりp<3。
また、aが2p-1の約数なので2p-1≧a=q≧3よりp≧2であるからp=2。
従って、\dfrac ab=\dfrac{2p-1}{p+2}=\dfrac34なのでq=a=3。
このとき\dfrac ab=\dfrac{2q}{q^2-1}が成立しており、☆は\tan(\alpha+2\beta)=2でないときには成立しない(中辺の分母を払うと\tan(\alpha+2\beta)の一次方程式となるため)ことから確かに\tan(\alpha+2\beta)=2である。
以上より、(p,q)=(2,3)。


既約分数を出さなくても、分母を払って偶奇を比較すればqが奇数であることを言えるのでq≧3からp<3としてp=1,2の場合で二次方程式を解けばよいのだが、場合分けも二次方程式を解くのもあんまり好きではないから避けた。

京大2017年前期理系問題2

四面体OABCを考える. 
点D, E, F, G, H, Iは, それぞれ辺OA, AB, BC, CO, OB, AC上にあり, 頂点ではないとする.
このとき, 次の問に答えよ.
(1)\vec{\mathrm{DG}}\vec{\mathrm{EF}}が平行ならばAE:EB=CF:FBであることを示せ.
(2)D, E, F, G, H, Iが正八面体の頂点となっているとき,
これらの点はOABCの各辺の中点であり, OABCは正四面体であることを示せ.

(1)
\vec{\mathrm{DG}}\vec{\mathrm{EF}}が平行のとき、D, G, E, Fは同一平面上にあり、この平面を\alphaとする。
平面\alphaと直線ACが共有点Pをもつと仮定する。
Pは平面\alphaと平面OACの交線上にある。すなわち直線DG上にある。同様に直線EF上にあることが言えるがこれは\vec{\mathrm{DG}}\vec{\mathrm{EF}}が平行であることに反する。したがって平面\alphaと直線ACは共有点をもたない。
特に、直線EFと直線ACは共有点を持たず、同一平面上にあるので平行である。
これより、△BEF∽△BACであるからAB:EB=CB:FB。従ってAE:EB=CF:FB。
(2)
正四面体の各辺の中点を結んでできる八面体は各面が正三角形であり、正八面体である。
この正八面体の面のうち、もとの正四面体の面に含まれるものを考える。
これらの面は辺を共有しない四面であり、これらの面のそれぞれを含む平面が空間から切り取る領域はもとの正四面体、つまり各辺の中点がこの正八面体の頂点と一致する正四面体である。
さて、ここで正八面体の辺を共有しない四面DEH, GFH, EFI, DGIを考えると、これらの面のそれぞれを含む平面が空間から切り取る領域は各辺の中点がD,E,F,G,H,Iと一致する正四面体であるがこれは四面体OABCに他ならないから題意は示された。


もうちょっと素直に面DEH, GFH, EFI, DGIから始めてもよくて、
この対称性はT_dで、これらの面を含む平面で切り取られる領域(四面体OABC)も同じ対称性をもつから、それが正四面体に限ることを言えば良い。
EHの垂直二等分面に関する鏡像対称性を使ってもいい(DがAOの中点でAB=OBが言える)し、
DF周りの二回軸(D,FがAO,CBの中点であることが言える)とDEHの中心を通る法線周りの三回軸(△ABOが正三角形であることが言える)でもよい。

京大2017年前期理系問題6

nを自然数とする. 
n個の箱すべてに, \fbox1, \fbox2, \fbox3, \fbox4, \fbox5の5種類のカードがそれぞれ1枚ずつ計5枚入っている.
各々の箱から1枚ずつカードを取り出し, 取り出した順に左から並べてn桁の数Xを作る. 
このとき, Xが3で割り切れる確率を求めよ.

Xを3で割った余りをR(X)とする。ここで0≦R(X)<3。
\omega=\dfrac{-1+\sqrt3i}2とおくと、\omega^3=1より\omega^X=\omega^{R(X)}であるから、
全ての取り出し方について\omega^Xの和をとると、R(X)=rであるような取り出し方の総数をN(r)として
\displaystyle\sum_{X}\omega^X=\sum_{r=0}^2\omega^rN(r)=N(0)-\frac12(N(1)+N(2))+\frac{\sqrt3i}2(N(1)-N(2))となる。
ここで、箱ごとに計算すると
\displaystyle\sum_{X}\omega^X=\prod_{k=1}^n\left(\sum_{j=1}^5\omega^{j\cdot10^{k-1}}\right)=\left(\sum_{j=1}^5\omega^j\right)^n=(-1)^n
であるから、実部及び虚部を比較してN(1)=N(2)=N(0)-(-1)^n
全てのカードの取り出し方は5^n=\displaystyle\sum_{r=0}^2N(r)=3N(0)-2(-1)^n通りであるから、
求める確率は\dfrac{N(0)}{5^n}=\dfrac13\left\{1+2\left(-\dfrac15\right)^{n}\right\}