shaitan's blog

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第1章②-1【地中海世界の風土と人々】

ギリシア人の世界

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図1:p. 33「ギリシア人の世界」図

『詳説世界史研究』の「ギリシア人の世界」の図(図1)は『詳説世界史図録』のものと同じ*1であるが、教科書*2の図とは異なる点がいくつかある。まず、教科書ではフェニキア本土およびクレタ島がそれぞれ「フェニキアの勢力範囲」および「ギリシアの勢力範囲」の色で塗られているが、『研究』では塗られていない。また、教科書ではキプロス島南部を「フェニキアの勢力範囲」としているが、『研究』では全島を「ギリシアの勢力範囲」としている。*3更に、拡大図におけるミロス島は教科書では「ドーリア人」だが『研究』では「イオニア人」である。これらはいずれも教科書の方が正確なように思われる。ただ、教科書ではトロイア(とされているヒサルルク)は「エーゲ文明遺跡」を表す青三角ではなく白丸印となっており、こちらに関しては『研究』の方に分がありそうであるし、教科書では丸印だけのマラカ、カデス、キレネが『研究』では植民市名まで載っているのは嬉しい。なお、『研究』でも市名の書かれていない植民市が3ヵ所あるが、西から順にティンギス、カルタゴ・ノヴァ、カルケドンである*4

*1:日下部公昭ほか編、木村靖二ほか監修『山川 詳説世界史図録(第3版)』山川出版社 2020, p. 18
『図録』の地図はページレイアウトの都合上、右下部分がごくわずかに欠けている。

*2:木村靖二ほか『詳説世界史 改訂版』(世B310)山川出版社 2016, p. 27
岸本美緒ほか『新世界史 改訂版』(世B313)山川出版社 2017, p. 29

*3:画像は載せないが、教科書でのみ「フェニキアの勢力範囲」となっている部分は凡例と同じ色であり、起伏を表現するぼかしがない。これはレイヤの順序ないし透明度が他の「フェニキアの勢力範囲」と違うのだと思われる。

*4:Putzger Historischer Weltatlas Erweiterte Ausgabe 104. Aufl., Cornelsen 2011, p. 34