shaitan's blog

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The American Spelling Book

目的

The American Spelling BookはNoah Websterの書いた教科書である。〈ウェブスターが目指したのは(イギリス英語とは別個の)アメリカ英語の標準を示すことであった。〉*1。以下、Prefeceの最終パラグラフからの引用。*2

To diffuse an uniformity and purity of language in America --- to destroy the provincial prejudices that originate in the trifling differences of dialect, and produce reciprocal ridicule --- to promote the interest, literature and the harmony of the United States --- is the most ardent wish of the author;

アルファベットの名称

以前、ドイツ語絡みで英語のアルファベットの名前について書いた。
shaitan.hatenablog.com
The American Spelling Bookにはアルファベットの名前(Names of the Letters)が載っているのだが、1800年に発行された本では順にa, be, ce, de, e, ef, ge, aytch or he, i, ja, ka, el, em, en, o, pe, cu, er, es, te, u, ve, double u, eks, wi or ye, ze となっている*3。1809年版ではGはje、Hは順番が変わってhe or aytch、Wはooとなっている*4。それから半世紀近く経った1857年の本*5ではRはarとなっている*6
これらの読み方はよく分からないが、H, Y, Wにそれぞれhe [hiː], ye [jiː], oo[uː](発音はいずれも推定)のような名前があったらしいというのは面白い。またRについては今回の資料を見る限りでは米国では19世紀前半にerからarに変化しているように見えるが、『英語アルファベット発達史』によると〈14世紀以前にer > ar の変化が多数の語に始まった[…]。この一般的音変化に従って、イギリス名erはarとなった。〉*7 とあるのと整合しない。ウェブスターがRの古い名称を使おうとしてやめたのだろうか?