shaitan's blog

長文書きたいときに使う.

演算子の必然性


nとn+1の間に入る演算子\Box_nとする。

以下の三点に注意する。
k\Box_k\cdots\Box_{m-1}m\pm(m+1)\Box_{m+1}\cdots\Box_{n-1}nで表される数はk\Box_k\cdots\Box_{m-1}m(m+1)\Box_{m+1}\cdots\Box_{n-1}nと表される数の和か差で表わせる。
(複号が正なら自明。負の場合は\Box_i (i>m)が+か-の場合にそれぞれ-か+にすればよい。)
\Box_i (k\leq i< m)が全て×か÷のとき、k\Box_k\cdots\Box_{m-1}m\frac{m!}{(k-1)!l^2}と表せる(lは\Box_iが÷であるようなi+1の総積)。
k\Box_k\cdots\Box_{m-1}m (k>1)の絶対値最大となる値はk(k+1)\cdots mであり、1\Box_1\cdots\Box_{m-1}mの絶対値最大となる値はm!+1である。

\Box_6が+か-の場合、①と③より、|7\Box_78\Box_89\Box_910-2015|=|1\Box_1\cdots\Box_56|\leq 6!+1=721である。
ここで\Box_i (i>6)のいずれかが+か-の場合、①と③より不適であり、全て×か÷のとき②より不適。
従って\Box_6は×か÷である。
更に、\Box_6が÷の場合、1\Box_1\cdots\Box_910は整数にならない(①と②より)ので\Box_6は×である。
これより、②におけるlは7以上の素因数を持たない(☆)。

\Box_7が+か-の場合、\Box_kが+か-であり、\Box_m (k< m< 7)が全て×か÷であるようなkを考える(\Box_m (m< 7)が全て×か÷である場合にはk=0とする)。
①と③より、|(k+1)\Box_{k+1}\cdots\Box_67-2015|\leq (k!+1)+(8\cdot9\cdot10)\leq 5!+1+720=841
②より2015-841\leq \frac{7!}{k!l^2}\leq 2015+841、従って1<\frac{7!}{2015+841}\leq k!l^2\leq \frac{7!}{2015-841}=\frac{5040}{1174}<5であるから、k!l^2=2,3,4つまり(k!,l)=(2,1),(1,2)である。
(k!,l)=(2,1)のとき、1\Box_12\Box_23\times\cdots\times7\Box_78\Box_89\Box_910=2015より|8\Box_89\Box_910|=505+1\Box_12であり|1\Box_12|\leq3よりこれは成立しない。
(k!,l)=(1,2)のとき、1\div2\times\cdots\times7\Box_78\Box_89\Box_910=2015より|8\Box_89\Box_910|=755でありこれも成立しない。
従って\Box_7は×か÷である。

\Box_8が+か-の場合、\Box_kが+か-であり、\Box_m (k< m< 8)が全て×か÷であるようなkを考える(\Box_m (m< 8)が全て×か÷である場合にはk=0とする)。
①と③より、|(k+1)\Box_{k+1}\cdots\Box_78-2015|\leq (k!+1)+(9\cdot10)\leq 5!+1+90=201
②より2015-201\leq \frac{8!}{k!l^2}\leq 2015+201従って18<\frac{8!}{2015+201}\leq k!l^2\leq \frac{8!}{2015-201}<23であるが、これを満たす(k,l)は存在しない。
従って\Box_8は×か÷である。

\Box_9が+か-の場合、\Box_kが+か-であり、\Box_m (k< m< 9)が全て×か÷であるようなkを考える(\Box_m (m< 9)が全て×か÷である場合にはk=0とする)。
①と③より、|(k+1)\Box_{k+1}\cdots\Box_89-2015|\leq (k!+1)+10\leq 5!+1+10=131
②より2015-131\leq \frac{9!}{k!l^2}\leq 2015+131従って169<\frac{9!}{2015+131}\leq k!l^2\leq \frac{9!}{2015-131}<193であるが、これを満たす(k,l)は存在しない。
従って\Box_9は×か÷である。

\Box_kが+か-であり、\Box_m (k< m)が全て×か÷であるようなkを考える(\Box_mが全て×か÷である場合にはk=0とする)。
①と③より、|(k+1)\Box_{k+1}\cdots\Box_910-2015|\leq k!+1\leq 5!+1=121
②より2015-121\leq \frac{10!}{k!l^2}\leq 2015+121従って1698<\frac{10!}{2015+121}\leq k!l^2\leq \frac{10!}{2015-121}<1916である。
k=0,1のとき、1698< l^2< 1916であるが、☆よりこれを満たすlは存在しない。
k=2のとき、849< l^2< 958より29< l<31であるからl=30となる。
このとき、1\Box_12+3\times4\div5\div6\times7\times8\times9\times10=2015であるから\Box_1は-である。
k=3のとき、283< l^2< 320であるが、☆よりこれを満たすlは存在しない。
k=4のとき、70< l^2<80であるが、これを満たすlは存在しない。
k=5のとき、14< l^2<16であるが、これを満たすlは存在しない。

以上より、1-2+3\times4\div5\div6\times7\times8\times9\times10=2015が求める答えである。


普段はなるべく大胆に不等式評価して計算を簡単にしようと思ってるのだが、入力するのが大変だったので今回はパス。
例えば桁数の多い割り算であっても、計算用紙にごちゃごちゃ計算して(そもそも禁止されてるわけじゃないんだから計算機を使ってもよい)イコールで結んで書いとけば解答例としては問題ないんだよなあ。単に好みじゃないだけで。
符号が間違ってるところがあるが、これを修正するなら全体的に書き直したいので放置。

東大2015年前期理系問題4

数列\{p_n\}を次のように定める。
p_1=1, p_2=2, p_{n+2}=\dfrac{p_{n+1}^2+1}{p_n} (n=1,2,3,\ldots)
(1)\dfrac{p_{n+1}^2+p_n^2+1}{p_{n+1}p_n}がnによらないことを示せ。
(2)すべてのn=2,3,4,\ldotsに対し、p_{n+1}+p_{n-1}p_nのみを使って表せ。
(3)数列\{q_n\}を次のように定める。
q_1=1, q_2=2, q_{n+2}=q_{n+1}+q_n (n=1,2,3,\ldots)
すべてのn=1,2,3,\ldotsに対し、p_n=q_{2n-1}を示せ。

(1)
すべてのn=1,2,3,\ldotsに対しp_{n+2}p_n=p_{n+1}^2+1であるから、
\dfrac{p_{n+1}^2+p_n^2+1}{p_{n+1}p_n}=\dfrac{p_{n+2}p_n+p_n^2}{p_{n+1}p_n}=\dfrac{p_{n+2}+p_n}{p_{n+1}}=\dfrac{p_{n+2}^2+p_{n+2}p_n}{p_{n+2}p_{n+1}}=\dfrac{p_{n+2}^2+p_{n+1}^2+1}{p_{n+2}p_{n+1}}
となりnによらない。
(2)
(1)の途中式よりすべてのn=1,2,3,\ldotsに対し
\dfrac{p_{n+2}+p_n}{p_{n+1}}=\dfrac{p_{n+1}^2+p_n^2+1}{p_{n+1}p_n}であるが、
(1)の結果より右辺はnによらず\dfrac{p_2^2+p_1^2+1}{p_2p_1}=3に等しい。
添え字の範囲に注意すると、すべてのn=2,3,4,\ldotsに対し、\dfrac{p_{n+1}+p_{n-1}}{p_n}=3
すなわち{p_{n+1}+p_{n-1}}=3{p_n}
(3)
数列\{q_{2n-1}\}を考えると、q_{2\cdot1-1}=q_1=1=p_1q_{2\cdot2-1}=q_3=q_2+q_1=2=p_2であるから、q_{2(n+1)-1}+q_{2(n-1)-1}=3q_{2n-1}\quad(n=2,3,4,\ldots)が成立することを示せばよい。
すべてのn=2,3,4,\ldotsに対し、q_{2(n+1)-1}=q_{2n}+q_{2n-1}, q_{2n}=q_{2n-1}+q_{2n-2}, q_{2n-1}=q_{2n-2}+q_{2(n-1)-1}であるが、これらからq_{2n},q_{2n-2}を消去すると示すべき式が得られる。

東大2016年前期理系問題1

e自然対数の底,すなわちe=\lim\limits_{t\to\infty}\left(1+\dfrac1t\right)^tとする。
すべての正の実数xに対し,次の不等式が成り立つことを示せ。
\left(1+\dfrac1x\right)^x < e < \left(1+\dfrac1x\right)^{x+\frac12}

補題「数列\{a_n\}が単調増加で\lim\limits_{n\to\infty}a_n=\alphaのとき、\alpha > a_0」を示す。
1より大きい任意のnに対しa_n >a_1なので\alpha=\lim\limits_{n\to\infty}a_n\geq\lim\limits_{n\to\infty}a_1=a_1 > a_0

ここで、a_n=\left(1+\dfrac1{2^nx}\right)^{2^nx}を考える。
a_{n+1}= \left(1+\dfrac1{2^{n+1}x}\right)^{2(2^nx)}=\left(1+\dfrac1{2^nx}+\dfrac1{2^{2n+2}x^2}\right)^{2^nx} > a_nより\{a_n\}は単調増加。
さらに\lim\limits_{n\to\infty}a_n=eであるから、補題よりe > a_0 = \left(1+\dfrac1x\right)^x

また、f(x)=\left(1+\dfrac1x\right)^{x+\frac12}x_0=x, x_{n+1}=2x_n+\dfrac12とおき、b_n=-f(x_n)とする。
b_{n+1}=-\left(1+\dfrac1{x_{n+1}}\right)^{2(x_{n}+\frac12)}=\cdots=-\left(1+\dfrac1{x_n+\frac14}\right)^{x_{n}+\frac12} > b_n より\{b_n\}は単調増加。
さらに\lim\limits_{n\to\infty}\left(1+\dfrac1{x_n}\right)^{x_n}=eかつ\lim\limits_{n\to\infty}\sqrt{1+\dfrac1{x_n}}=1より\lim\limits_{n\to\infty}b_n=-e\cdot1=-eであるから、補題より-e > b_0。つまりe < -b_0=f(x_0)=\left(1+\dfrac1x\right)^{x+\frac12}


高校範囲だと極限をどう扱うのかよく分かってない。こういう解答だとバツかも。
なるべく計算量が少なくなるように頑張ったつもり(二乗の展開と分数の足し算くらい?)。

今月の問題、今月のうちに

shaitan.hatenablog.com

十分性の証明

↓背景色と同じにすればいいか

正六角形の一辺の長さが3の倍数のとき、対角線の長さは6の倍数であり、
松竹梅のそれぞれと対角線との共有部分の辺の本数はいずれも同じであり偶数本となる。
よってハニカム格子上で偶数本の辺からなる連結な図形は折れ線により構成可能であることを示せば十分。
辺の本数による帰納法で示す。2本の場合自明。k本以下の場合に可能であると仮定し、k+2本の辺から構成された連結な図形を考える。
(i)ちょうど2本の辺に共有される頂点が存在する場合
この頂点Pを含む折れ線を取り除いた図形Xを考える。
Xが連結な場合、いずれも偶数本の辺からなる2つの連結な部分からなる場合はいずれも帰納法の仮定からもとの図形も構成可能。
Xがいずれも奇数本の辺からなる2つの連結な部分からなる場合、
もとの図形をPで分割するとそれぞれが偶数本の辺からなる連結な図形となるので帰納法の仮定からもとの図形も構成可能。
(ii)それ以外
分岐が存在し、その分岐点をOとする。Oに隣接する3頂点をA,B,Cとし、Aからは辺AO以外の辺が出ているとしてよい。
辺OAが辺OB,辺OCとつながっていないとした場合にも図形が連結であれば(i)に帰着される。
図形がいずれも偶数本の辺からなる2つの連結な部分に分かれる場合は帰納法の仮定からもとの図形も構成可能。
図形がいずれも奇数本の辺からなる2つの連結な部分に分かれる場合は点Oの代わりに点Aで分割すればよい。

↑おわり。
大したこと言ってないくせに、ちゃんと書こうとするとどう書いていいかよく分からない(用語がおかしい部分があると思う)上に面倒くさい(多少ごまかした)。
場合分けをどうすれば簡単になるかをずっと考えてたんだけどもうこれで妥協した。
高級な概念を使うと一瞬で解けそうな気もするがそういうのは数学ができる人に任せる。

数学の入社試験を見た(見ただけ)を見た(見ただけ)

nloglogn.hatenablog.com
必要性の証明の別解

↓背景色と同じにすればいいか

一辺の長さnの正六角形が折れ線で作れるとする。
三角格子はハニカム格子三つでできている。それぞれの格子と正六角形の共通部分を「松」「竹」「梅」とする。
折れ線の二辺は同じハニカム格子に属するため、松竹梅はいずれも折れ線で作れる。従って松竹梅の辺はいずれも偶数本。対称性から正六角形の対角線と松竹梅それぞれの共通部分の辺はいずれも偶数本。
正六角形の対角線上の松竹梅の辺の本数の差はいずれも1以下であるから、辺の本数はいずれも等しい。これより対角線の長さ2nは3の倍数となるのでnは3の倍数。

↑おわり。