shaitan's blog

長文書きたいときに使う.

詳説世界史研究

第1章③-11【ローマの生活と文化】

ローマ字 ギリシア文字からつくられたローマ字は『詳説世界史研究』p. 64. ローマ字は原始エトルリア文字を通してギリシア文字を取り入れた。そのためは有声・無声の区別なく/k/, /g/に使われていた*1が、後に〈C〉に線を加えた〈G〉を有声音/g/の表記として…

第1章③-9【原始キリスト教】

洗礼者ヨハネ 洗礼者ヨハネ John the Baptist があらわれ、民衆に終末の近いことを説教し、悔い改めを促して洗礼活動をおこなったが、ヘロデ一族を非難したためとらえられ、殺された。p. 62 洗礼者ヨハネは〈「悔い改めよ。天の国は近づいた」と言っ〉*1て〈…

第1章②-13【アレクサンドロス大王とヘレニズム時代】

ギリシア文化の影響 大王の東方遠征から、もっとも長く存続したプトレマイオス朝エジプトの滅亡まで、ギリシア文化が東方の広大な領域に拡大していった約300年間をヘレニズム時代 Hellenism とよぶ。[…]この時代にはギリシア風の都市がオリエントやその周辺…

ヒクソス

twitterで話題になっていたこともあり、鈴木董[編]『帝国の崩壊』を少し読んだ。 ヒクソスというのは大学でも講義しますが、民族の名前でも何でもありません。ヒクソス自身がアジア系の支配者の尊称として自称したもので、「異国の支配者」という意味のヒエ…

第1章①-4【周辺諸民族の動向】

ヒッタイトの製鉄 東部アナトリア高原に定住したヒッタイト人 Hittites は、馬に引かせた戦車と鉄製の武器を用いた強力な軍事力で先住民族を征服した。『詳説世界史研究』p. 19. 前12世紀初期には系統不明の「海の民」の襲来によって滅亡した。それとともに…

第1章③-1【エトルリアとローマ】

エトルリア人の起源 古代イタリア人の定住以前に、半島には非インド=ヨーロッパ語系の先住民が住んでいた。なかでも重要なのが、半島中部から北部のエトルリア地方に住んでいたエトルリア人 Etrusci であった。『詳説世界史研究』p. 51. エトルリア人の起源…

第1章②-14【ヘレニズム文化】

エウクレイデス エウクレイデス Eukleides(前300頃)は今日「ユークリッド幾何学」とよばれる平面幾何学を集大成し、『詳説世界史研究』p. 50 エウクレイデスは工学、天文学、音楽、力学、円錐曲線に至るまでの様々な専門書を著している。*1 彼のもっとも偉…

第1章②-12【ギリシアの生活と文化】

ホメロス ホメロス Homeros(前8世紀)はトロイア戦争の顛末を『イリアス』『オデュッセイア』の長大な2編の詩に歌い、『詳説世界史研究』p. 45 〈トロイア戦争にまつわる伝説は、『イリアス』『オデュッセイア』の二長篇を含め、全部で八篇の叙事詩によって…

第1章②-11【ポリス社会の変容】

ペルシア ペルシア王の主導で前386年にアンタルキダス条約(大王の和約)が結ばれた。この条約はペルシア王のアナトリア領有権を認めるかわりにギリシア各国に独立自治を保障するというもので、『詳説世界史研究』p. 44 〈ペルシアの対ギリシア政策には、二…

第1章②-10【ペロポネソス戦争】

開戦 デロス同盟によって急速に勢力を広げたアテネに、ペロポネソス同盟の盟主スパルタは脅威を感じた。やがて対立する両者は…ペロポネソス戦争(前431~前404)に突入した。『詳説世界史研究』p. 43. トゥキュディデスはペロポネソス戦争の原因として、〈あ…

第1章②-9【アテネ民主政の完成】

エフィアルテスの改革 サラミスの勝利とデロス同盟による支配圏拡大は、軍船の漕ぎ手として戦争に参加する下層市民たちの発言力を高めた。これを背景に民主派の指導者エフィアルテス Ephialtes は、前462年、貴族勢力の拠点であるアレオパゴス評議会から政治…

第1章②-8【ペルシア戦争】

マラトンの戦い 将軍ミルティアデス Miltiades(前550頃~前489)に率いられたアテネの重装歩兵軍1万人は、ほぼ独力で約2倍のペルシア軍を迎えうち、これを撃破した。『詳説世界史研究』p. 41. 〈彼[=ミルティアデス]は、ダリウス一世のスキタイ遠征(前513…

第1章②-7【アテネ民主政の歩み】

ソロンの改革 市民団を年間の農業生産物の高に応じて、500石(こく)級・騎士級・重装歩兵級・労務者級の4つの等級に分け、それぞれに応じて市民たちに参政権を与えた。『詳説世界史研究』p. 39 〈財産による市民の等級付けは、実はソロン以前から行われてい…

第1章②-5【スパルタの社会と国家】

スパルタは、ほかにはない特異な性格をもつポリスであった。 […] このような特殊な社会と政治の体制は、それを定めたとされる伝説上の王の名からリュクルゴス Lykurgos の制とよばれる。pp. 37-38 クセノポンの『ラケダイモン人の国制』では〈リュクルゴスは…

第1章②-4【市民と奴隷】

奴隷 ポリスの住民を大まかに分けると、自由人の市民とこれに隷属する奴隷がありp. 36. アリストテレス『政治学』に曰く〈完全な家は奴隷と自由人から出来ている。〉*1。 奴隷は、人間でありながら人格を認められず、普通の財産と同じように売買の対象となり…

第1章②-3【ポリスの成立と発展】

集住 集住は、アテネ Athenai のように有力貴族だけが中心市に集まる形態や、p. 35 集住と言っても「実際に都市部に住民が移住したかどうかは問わない…[略]…アテネでは、相互に独立した村々の貴族層が、中心市に政治的結集をしてポリス形成が行われたという…

第1章②-2【エーゲ文明】

クレタ 神話上この島[=クレタ]の王とされ、周囲に強大な海上支配を築いたとされるミノス王 Minosp. 32 トゥキディデスは次のように伝える。〈伝説によれば、最古の海軍を組織したのはミーノースである。かれは現在ギリシアにぞくする海の殆んど全域を制覇し…

第1章②-1【地中海世界の風土と人々】

ギリシア人の世界 図1:p. 33「ギリシア人の世界」図『詳説世界史研究』の「ギリシア人の世界」の図(図1)は『詳説世界史図録』のものと同じ*1であるが、教科書*2の図とは異なる点がいくつかある。まず、教科書ではフェニキア本土およびクレタ島がそれぞれ…

第1章①-14【イラン文明】

今日のゾロアスター教 今日なおイランの一部ではゾロアスター教徒が信仰を続けている。p. 31 イランに残留したゾロアスター教徒の他に、迫害によりインドへ逃れたゾロアスター教徒(パールスィー)がおり、今に至るまで信仰を守っている。*1パールスィーは経…

第1章①-12【パルティア】

バクトリア王国 ギリシア人が支配者であったバクトリア王国ではヘレニズム文化が栄えた。p. 29 「1965年、フランスの考古学調査隊が、アイ・ハヌムでギリシア都市の遺跡を発掘し…[略]…ここがバクトリア王国の中心都市の一つであったことを明らかにした。…[略…

第1章①-11【アケメネス朝】

アケメネス朝 アケメネス朝建国の祖であるキュロス2世 Kyros II(位前559~前539)p. 27 キュロス二世はアケメネス家の出ではないらしく、王家を簒奪したダレイオス1世により「ハカーマニシュ[=アケメネス]家の系図の中にクル[=キュロス]王家の系図を嵌め込…

第1章①-10【古代オリエントの統一】

リディア リディアはインド=ヨーロッパ語系のリディア人が前7世紀の半ばに建てた王国で、首都サルデスを中心に対外交易によって栄え、世界最古の金属貨幣をつくったことで知られる。p. 27 ヘロドトスは「リューディアー王朝の興亡から『ヒストリアイ』を書…

第1章①-9【ヘブライ人とユダヤ教】

出エジプト 前13世紀頃に指導者モーセ Moses に率いられてこの地[=エジプト]を脱出した(「出エジプト」)。p. 25 出エジプト記に「イスラエルの民はファラオの倉庫の町、ピトムとラメセスを建設した。」*1とあり、この「ラメセス…[略]…はエジプト第十九王朝…

第1章①-8【東地中海世界の諸民族】

アルファベット パレスチナ地方に住んでいたセム語系のカナーン人 Canaanites は…[略]…エジプトの象形文字をもとにアルファベットの原型の1つである原カナーン文字を考案したことが知られる。p. 24 フェニキア人が前11世紀頃生み出したフェニキア文字は原カ…

第1章①-7【エジプトの宗教と文化】

ミイラ ミイラは脳と内臓を摘出した遺体を洗浄して亜麻布の包帯で全身を包んでつくったものである。p. 22 ヘロドトスによるとミイラ作りの方法には価格に応じて3通りあり、『詳説世界史研究』に書かれているのは最も高価なミイラ調製の方法である。*1 太陽暦…

第1章①-6【エジプトの統一国家】

河の賜物 ギリシアの歴史家ヘロドトスが「エジプトはナイルの賜物」(『歴史』2巻5章)と述べたp. 20 『歴史』の該当部分は「今日ギリシア人が通航しているエジプトの地域[=ナイル河のデルタ地帯]は、いわば(ナイル)河の賜物ともいうべきもので、エジプト人…

第1章①-5【メソポタミアの宗教と文化】

神話 シュメールでは『ギルガメッシュ叙事詩』などの宗教文学が発達し、のちにセム系諸民族に伝わって大きな影響を与えた。p. 19 ギルガメシュ神はアッカド語(セム系)の名であり、「本来はシュメルの冥界神で、シュメル語でビルガメシュ神という。…[略]…シ…

第1章①-3【メソポタミアの統一】

サルゴン1世 前24世紀半ば、アッカド王朝を開いたサルゴン1世 Sargon I(位前2340~前2284)は、アッカドとシュメール両地方を含むメソポタミアの都市国家群をはじめて統一し、「全土の王」と称した。p. 18 『サルゴン伝説』によると、産まれたのち籠に入れ…

第1章①-2【シュメール人の都市国家】

農業生産 制御された河川の水を利用して灌漑・排水施設を整えることによって、極めて高い農業生産を得ることができた。p. 17 ヘロドトスは「バビロン地方は穀類の産出では、われわれの知る限りの地域の内で飛びぬけて最高である。…[略]…収穫量が平均して(播…

序章-4【人種・民族・語族】

ホモ・サピエンス 地球上のすべての現生人類は、生物学的にはホモ=サピエンス=サピエンスという1つの種に属するp. 11 とあるが、Homo sapiens sapiens と言った場合は亜種なので「種」と書くのは不適切ではないだろうか。 〈ホモ・サピエンスという種の定…