お菓子メーカー、ごまかしのきかない本当の商品を世に提供していてすごい。お菓子メーカー以外はすべて虚業。
— ギャラクシースーパーノヴァ子 (@gsnc_) 2021年1月21日
『広辞苑』では「ごまかし」の語源として〈胡麻胴乱(ごまどうらん)を「ごまかし(胡麻菓子)」と言ったことから〉*1としている。孫引きになるが、『新明解語源辞典』によると『新潮現代国語辞典二版』も「ふくらんで中空の『胡麻菓子』から」としているらしい*2。
胡麻胴乱は『松屋筆記』*3 によると
小麥粉をときて胡麻をまぜ燒ふくらがしたるが見たる貌はうまげにていとまづく中に餒[ママ]のありげなれどもさもなくて空なれば食にたへざる粗物也これを容貌美嚴にして思慮愚昧なる者のたとへにいへり
というお菓子。酷い言われようである。
『假名世説』では、『国町の沙汰』*4から江戸の名物が多く出てくる話を引用した後に
延宝の頃の江戸の名物こゝに盡せり此頃いまだ両国橋の幾代もち金龍山の浅草餅本郷笹屋のごまどうらん鎌倉がし豊島屋の大田楽市谷左内坂の粟焼などハなしと見えたり
と名前が挙がっているところを見ると、名物ではあったらしい。*5
しかし、「ごまかし」の語源を胡麻胴乱に求めることについて、『日本語源大辞典』には〈妥当ではないだろう。〉とある。根拠は特に書かれていないが、〈容貌美嚴にして思慮愚昧なる者〉と「ごまかし」では意味に隔たりがあるのは気になる。
『大言海』は〈ごまのはひノごまニ、まぎらかす、だまかすナドノ、かすヲ附ケアハセタルナドニハアルマジキカ〉*6としており、「胡麻菓子」説は採っていない。こちらの説も〈ナドニハアルマジキカ〉と弱気だし、つまるところ語源はよく分からないのである。