shaitan's blog

長文書きたいときに使う.

京大1995年後期理系問題3

a,\ b,\ cは実数でa\geq0,\ b\geq0とする.
p(x)=ax^2+bx+c,\ q(x)=cx^2+bx+a
とおく.-1\leq x\leq1をみたすすべてのxに対して|p(x)|\leq1が成り立つとき,
-1\leq x\leq1をみたすすべてのxに対して|q(x)|\leq2が成り立つことを示せ.

|q(\pm1)|=|p(\pm1)|\leq1であるから,-1\leq x\leq1の範囲でq(x)極値を持つときにその極値の絶対値が2以下となることを示せば良い.
q(x)=c\left(x+\dfrac b{2c}\right)^2+a-\dfrac{b^2}{4c}であるから,x=-\dfrac b{2c}のとき極値a-\dfrac{b^2}{4c}をとる.
-1\leq x\leq1の範囲でq(x)極値を持つときc\neq0,\ -1\leq \dfrac b{2c}\leq1であり,
このとき,a-b\leq a-\dfrac{b^2}{4c}\leq a+b
|a\pm b|\leq|a\pm b+c|+|c|=|p(\pm1)|+|p(0)|\leq2より\left|a-\dfrac{b^2}{4c}\right|\leq 2なので示された.

京大1993年後期理系問題4

aは正の定数とする.不等式a^x\geq axがすべての正の数xについて成り立つという.
このときaはどのようなものか.

x=1のとき等号が成立する.
f(x)=a^xとおくとf'(x)=(\log a)a^xでありf'(1)=a\log a
x>1のとき\dfrac{a^x-a}{x-1}\geq\dfrac{ax-a}{x-1}= aであり,この左辺のx\to 1+0の極限を取るとこれはf'(1)に等しい.
つまりa\log a\geq a
x<1のとき同様の変形をしてx\to1-0の極限をとってa\log a\leq a
以上よりa=e

京大1991年前期理系問題4

実数a,b\quad\left(0\leq a<\dfrac\pi4,\ 0\leq b<\dfrac\pi4\right)に対し次の不等式の成り立つことを示せ.
\sqrt{\tan a\cdot\tan b}\leq\tan\left(\dfrac{a+b}2\right)\leq\dfrac12(\tan a+\tan b)

\tan a,\ \tan b\geq 0であり相乗平均≦相加平均なので(与式左辺)≦(与式右辺)…①.
\tan(a+b)の加法定理より
\dfrac{\tan a+\tan b}{1-\tan a\tan b}=\dfrac{2\tan\frac{a+b}2}{1-\tan^2\frac{a+b}2}…②
0\leq\tan a,\ \tan b,\ \tan\left(\dfrac{a+b}2\right)<1より両辺の分子分母ともに正.
(与式左辺)>(与式中辺)と仮定すると,(②の左辺分母)<(②の右辺分母)より(②の左辺分子)<(②の右辺分子)すなわち(与式右辺)<(与式中辺)となり①に反する.
従って(与式左辺)≦(与式中辺)であるから同様に(与式右辺)≧(与式中辺).

京大1990年前期理系問題2

三角形ABCにおいて,∠B=60°,Bの対辺の長さbは整数,他の2辺の長さa,cはいずれも素数である.
このとき三角形ABCは正三角形であることを示せ.

∠A=60°のとき三角形ABCは正三角形である.
∠A<60°とすると60°<120°-∠A=∠C<120°であり,正弦定理よりa< b< cとなる.
三角不等式b-a< c< b+aより0< b-a< c< b+a<2cなのでb\pm a素数cと互いに素.
余弦定理よりb^2=a^2+c^2-acつまりc(c-a)=(b+a)(b-a)であるが,左辺はcで割り切れ右辺はそうでないから矛盾.
∠A>60°のとき∠C<60°であり同様に矛盾.

京大1986理系問題1


i\leq jのときa_i\leq a_jであるから,na_1\leq\displaystyle\sum_{i=1}^na_i=0\leq na_n
これより,a_k\leq 0\leq a_{k+1}を満たすkが存在し,(i-k)a_i\geq 0
従って\displaystyle\sum_{i=1}^nia_i=\sum_{i=1}^n(i-k)a_i\geq0
等号が成立すると仮定するとa_i=0\quad(i\neq k)よりa_k=\displaystyle-\sum_{i\neq k}a_i=0よりa_1, a_2,\ldots,a_nが全て0となり不適.
よって等号は不成立なのでa_1+ 2a_2+ \cdots+ na_n>0.



[2022.11.25 追記]
n次の置換\sigmaを考える。S(\sigma)=\sum_{i=1}^n\sigma(i)a_iは、\sigmaが恒等置換のとき最大となることを示す。
\sigmaが恒等置換でないとき、\sigma(i)>\sigma(j)となるi< jが存在するが、このとき、 \left[\sigma(j)a_i+\sigma(i)a_j\right]- \left[\sigma(i)a_i+\sigma(j)a_j\right]=\left[\sigma(i)-\sigma(j)\right]\left[a_j-a_i\right]\geq0であるから、\sigmaS(\sigma)を最大にしない。\sigmaは高々有限なので最大値を与える\sigmaが存在するがそれは恒等置換である。
これより、\displaystyle\sum_{i=1}^nia_i\geq\dfrac1{n!}\sum_\sigma S(\sigma)=\sum_{i=1}^na_i=0
等号成立は任意のi, jについてa_i=a_jのときであるが、このときa_1, a_2,\ldots,a_nが全て0となり不適。よって示された。


大学入試だと「並べ替え不等式より」の一言で済まして良いか分からなかったので証明をしている。



[2022.11.25 追記2]
\displaystyle\sum_{i=1}^nia_i=\sum_{i=1}^nia_i-\left(\dfrac{n+1}2\right)\sum_{i=1}^na_i=\sum_{i=1}^n\left(i-\dfrac{n+1}2\right)a_i\displaystyle=\sum_{i=1}^{\lfloor n/2\rfloor}\left(i-\dfrac{n+1}2\right)a_i+\sum_{i=\lceil n/2\rceil+1}^n\left(i-\dfrac{n+1}2\right)a_i=\displaystyle\sum_{i=1}^{\lfloor n/2\rfloor}\left(i-\dfrac{n+1}2\right)a_i+\sum_{j=1}^{\lfloor n/2\rfloor}\left(\dfrac{n+1}2-j\right)a_{n+1-j}=\displaystyle\sum_{i=1}^{\lfloor n/2\rfloor}\left(\dfrac{n+1}2-i\right)\left(a_{n+1-i}-a_i\right)\geq0
等号成立にはa_n=a_1が必要であり、このときa_1, a_2,\ldots,a_nが全て0となり不適。よって示された。



[2022.11.25 追記3]
0=\displaystyle\sum_{i=1}^na_i\leq na_nであり、等号成立はa_1, a_2,\ldots,a_nが全て0のときなのでa_n>0である。
数学的帰納法で示す。
n=2のときa_1+2a_2=a_2>0より成り立つ。
n=kのときの成立を仮定する。n=k+1のとき、b_i=\begin{cases}a_i & i< k\\a_k+a_{k+1}&i=k\end{cases}と定義すると、帰納法の仮定より
\displaystyle\sum_{i=1}^{k+1}ia_i=\sum_{i=1}^{k}ib_i+a_{k+1}>0となりn=k+1のときも成立する。
以上より示された。



[2022.11.25 追記4]
a_1からa_kまでの平均値をm_ka_{k+1}からa_nまでの平均値をM_kとおく。問題の条件よりm_k\leq M_kkm_k+(n-k)M_k=0であるからM_k\geq0となる(k=0のときもこの不等式は成立する)。
\displaystyle\sum_{i=1}^nia_i=\sum_{k=0}^{n-1}(n-k)M_k\geq0であり、等号成立はM_k=0 (0\leq k\leq n-1)のとき。このときa_j=(n-j+1)M_{j-1}-(n-j)M_j=0 (1\leq j\leq n-1)a_n=M_{n-1}=0となりすべて0なので不適。



[2022.11.26 追記]
\dfrac{ia_i+ja_j}{i+j}\geq\dfrac{a_i+a_j}2である。なぜなら左辺はa_i, a_jの小さくない方に重みのついている加重平均であり、右辺は相加平均だからである。
よって\displaystyle\sum_{i=1}^nia_i\displaystyle=\dfrac12\sum_{i=1}^n\left[ia_i+(n+1-i)a_{n+1-i}\right]\displaystyle\geq\dfrac12\sum_{i=1}^n\dfrac{n+1}2(a_i+a_{n+1-i})\displaystyle=\dfrac{n+1}2\sum_{i=1}^na_i=0
等号成立にはa_n=a_1が必要であり、このときa_1, a_2,\ldots,a_nが全て0となり不適。よって示された。

京大1984年理系問題5

つぼの中にr個(r\geq1)の赤球と,s個(s\geq0)の白球が入っている.
AとBの2人が,交互に球を1個ずつとり出し,先に赤球をとり出した者を勝者とするゲームをする.
ただし,とり出した球は,もとにもどさないものとする.
(1) ちょうどi回目(すなわちA,B2人のとり出した球の合計が,ちょうどi個になった時)に勝者が
きまる確率をP_iとするとき,P_i\geq P_{i+1}\quad(i=1, 2,\ldots)となることを示せ.
(2) このゲームをAからはじめるとする.任意のr,sに対して,Aが勝者となる確率は,\frac12またはそれ
以上であることを示せ.
また,Aが勝者となる確率が\frac12となるための,rsの条件を求めよ.

(1)
勝敗にかかわらずi+1回球を取り出すことを考える.
i回目に赤,i+1回目に白が出る確率とi回目に白,i+1回目に赤が出る確率は等しく,これをaとおき,
i回目とi+1回目にともに赤が出る確率をbとおき,i回目までに赤が出ない確率をcとおく.
すると,P_i=(a+b)c\geq ac=P_{i+1}
(2)
(Aが勝者となる確率)-(Bが勝者となる確率)\displaystyle=\sum_{i=1}^{r+s}P_i(-1)^{i-1}\geq\sum_{k=1}^{[\frac{r+s}2]}(P_{2k-1}-P_{2k})\geq0…☆
引き分けは存在しないので,(Aが勝者となる確率)\geq\dfrac12
また,☆の右の不等号の等号成立条件は(1)よりb=0つまりr=1
左の不等号のそれはr+sが偶数であること,つまりsが奇数であること.