shaitan's blog

長文書きたいときに使う.

京大1984年理系問題2

定数c\quad(c\neq0)に対して,等式f(x+c)=f(x)が全てのxについて成り立つとき,関数f(x)は周期関数であるといい,
またこの等式を満たすような正の数cのうちの最小値をf(x)の周期という.
次の関数は周期関数であるか否かを,理由をつけて答えよ.また,周期関数である場合には,その周期を求めよ.
(1) f(x)=\sin(\sin x)
(2) f(x)=\cos(\sin x)
(3) f(x)=\sin(x^3)

(1)
f(x+2\pi)=\sin(\sin x)=f(x)…①であるからこれは周期関数.
-1\leq\sin x\leq1であり,\sin t-1\leq t\leq 1で単調増加であるから,
f(x)を最大にするx\sin x=1となるx,つまりx=\left(\dfrac12+2n\right)\pi (n:整数).
周期をCとおくと,x=\dfrac\pi2+Cでもf(x)が最大となるから,C=2n\piと書けることが必要なのでC\geq2\pi
①とあわせて周期は2\pi
(2)
f(x+\pi)=\cos(-\sin x)=f(x)…②であるからこれは周期関数.
-1\leq\sin x\leq1であり,\cos t-1\leq t\leq 1の範囲で最大値1をとる(t=0).
f(x)を最大にするx\sin x=0となるx,つまりx=n\pi (n:整数).
周期をCとおくと,x=Cでもf(x)が最大となるから,C=n\piと書けることが必要なのでC\geq\pi
②とあわせて周期は\pi
(3)
f(x)が周期Cを持つと仮定する.
定義よりf(C)=0なのでC^3\piの正整数倍.
0\leq x< Cの範囲でf(x)=0となるxの数は\dfrac{C^3}{\pi}個.
C\leq x< 2Cの範囲でf(x)=0となるxの数は\dfrac{7C^3}{\pi}個.
これらより,f(x)\neq0かつf(x+C)=0なるxが存在するので矛盾.
従ってf(x)は周期関数ではない.

京大1984年理系問題3

実数tの値によって定まる点P(t+1,t)とQ(t-1,-t)がある.
(1) tがすべての実数を動くとき,直線PQが通過する範囲を図示せよ.
(2) t区間[0,1]=\{t|0\leq t\leq 1\}を動くとき,線分PQが通過する範囲の面積を求めよ.

(1)
直線PQは傾き\dfrac{t-(-t)}{(t+1)-(t-1)}=tであり点Pを通るのでy=tx-t^2
f(t)=t^2-xt+yとおくと,f(t)=0が実数解を持つことが直線PQが点(x:y)を通過する条件.
判別式D=x^2-4y\geq0よりy=\dfrac{x^2}4の下側の部分(境界を含む).(図は省略)
(2)
A(1,0), B(2,1),C(-1,0), D(0,-1)とおくと,Pは線分AB上,Qは線分CD上にある.
線分AB上の点は直線CDの上側にあるのでPQが通過する範囲は直線CDおよびその上側,つまりy\geq -x-1
線分CD上の点は直線AB上かその上側にあるのでPQが通過する範囲は直線ABおよびその上側,つまりy\geq x-1…☆.
面積を求めるべき範囲に点(x,y)が含まれるにはf(t)=00\leq t\leq 1で解をもつことが必要.
(i)0<\dfrac x2<1のとき
f\left(\dfrac x2\right)\leq0であり☆よりf(1)\geq0だから0\leq t\leq 1で解を持つ.
(ii)\dfrac x2\leq0, 1\dfrac x2のとき
f(0)f(1)\leq0ならば良いが,☆よりf(1)\geq0だからf(1)=0またはf(0)\leq0
以上を合わせて,x\leq0では-x-1\leq y\leq0(△OCDの周および内部),x>0ではx-1\leq y\leq\dfrac{x^2}4
従って求める面積は
\displaystyle\frac12+\int_0^2\left[\frac{x^2}4-(x-1)\right]\mathrm dx=\frac76.

京大1983年理系問題5

xy平面上に動点P,Qがある.Qは時刻0のとき点(0,-b)にあり(b>0),速さ1でy軸上を正の向きに進む.
他方Pは時刻0のとき点(-a,0)にあり(a>0),速さ1でx軸上を正の向きに進み,
ある時刻t\quad(t\geq0)で向きを変え,速さを\sqrt2に変更してQに到達するように直進するものとする.
時刻tから到達する時刻までの時間が最小になるようなtを求めよ.ただし0< a< bとする.

Pが向きを変えた後に進む方向の単位ベクトルを(\cos\theta,\sin\theta),時刻t+sにPがQに到達するとおく.
|t-a|=|\sqrt2s\cos\theta|, |t-b|=|s-\sqrt2s\sin\theta|であり,両辺の和を取ると
|t-a|+|t-b|=|\sqrt2s\cos\theta|+|s-\sqrt2s\sin\theta|=s(|\sqrt2\cos\theta|+|1-\sqrt2\sin\theta|)
ここで,右辺括弧内をf(\theta)とおき,これが最大になる\thetaを考える.
\sin\theta\geq 0のときf(-\theta)\geq f(\theta)であるから\pi\leq\theta\leq 2\piの範囲を考えればよく,
このときf(\theta)=\sqrt2(|\cos\theta|-\sin\theta)+1
この右辺括弧内が最大となるのは\theta=\dfrac54\pi,\dfrac74\piのとき.
この条件は|t-a|=s, |t-b|=2s…①と同値.
また,a\leq t\leq bのとき|t-a|+|t-b|=b-aとなるが,t< a, b< tのとき|t-a|+|t-b|>b-aなので
|t-a|+|t-b|が最小となるのはa\leq t\leq bのとき.
この条件はt-a>0, t-b<0…②と同値.
①,②が成立するとき,t-a=s, t-b=-2sなのでt=\dfrac{2a+b}3
このときf(\theta)が最大となり|t-a|+|t-b|が最小となるからsは最小となる.

京大1982年理系問題6

関数f(x)=\displaystyle\int_x^{x+1}te^{-|t|}\mathrm dtについて,次の問に答えよ.
(1) -1\leq x\leq0のとき,f(-1)\leq f(x)\leq f(0)であることを示せ.
(2) f(x)が最大および最小となるxの値をそれぞれ求めよ.

f(x)=\displaystyle\int_{-x}^{-x-1}(-t)e^{-|t|}(-\mathrm dt)=-f(-x-1)…①
また,「t<0のときte^{-|t|}<0t>0のときte^{-|t|}>0」…②.
(1)
-1\leq x\leq0とする.
②よりf(x)\leq \displaystyle\int_0^{x+1}te^{-|t|}\mathrm dt \leq \int_0^1te^{-|t|}\mathrm dt=f(0)
また,-1\leq -x-1\leq0でもあるからf(-x-1)\leq f(0)
これと①よりf(-1)=-f(0)\leq -f(-x-1)=f(x)
(2)
x\geq0f'(x)=(x+1)e^{-(x+1)}-xe^{-x}=(x+1-ex)e^{-(x+1)}であるから,x=\dfrac1{e-1}のとき最大.
(1)の結果より-1\leq x\leq 0のときf(x)\leq f(0)< f\left(\dfrac1{e-1}\right)
②よりx<-1のときf(x)<0< f\left(\dfrac1{e-1}\right)
以上よりf(x)x=\dfrac1{e-1}のとき最大.
0< f\left(\dfrac1{e-1}\right)なので,①よりf(x)が最小となるのは-x-1=\dfrac1{e-1},つまりx=-\dfrac e{e-1}のとき.

京大1981年文系問題2

p有理数とし,次の関係をもつx_n,y_nを座標にもつ平面上の点P_n\quad(n=1,2,\ldots)を考える;
x_{n+1}=x_n+p(y_{n+1}+y_n), y_{n+1}=y_n-p(x_{n+1}+x_n)
いま,x_1,y_1がともに有理数で,かつP_1は原点でないとする.
このとき,すべてのx_n,y_n有理数であり,点P_nは原点を中心とする定円上にあることを示せ.

x_{n+1}-py_{n+1}=x_n+py_n…① y_{n+1}+px_{n+1}=y_n-px_n…②である.
(①+②×p(1+p^2)よりx_{n+1}=\dfrac{x_n+py_n+p(y_n-px_n)}{1+p^2}であるから,
x_k,y_k有理数ならばx_{k+1}有理数.更に②よりy_{k+1}有理数となる.
x_1,y_1有理数なので,数学的帰納法によりすべてのx_n,y_n有理数

①と②の両辺を平方して和を取ると(1+p^2)(x_{n+1}^2+y_{n+1}^2)=(1+p^2)(x_n^2+y_n^2)であるから,すべてのx_n^2+y_n^2=OP_n^2は等しい.
P_1は原点ではないから,点P_nは原点を中心とする定円上にある.

京大1979年文理共通問題4

2人の人が1つのサイコロを1回ずつふり,大きい目を出した方を勝ちとすることにした.
ただし,このサイコロは必ずしも正しいものではなく,kの目の出る確率はp_kである(k=1,2,3,4,5,6).
このとき
(1)引き分けになる確率Pを求めよ.
(2)P\geq\dfrac16であることを示せ.また,P=\dfrac16ならば,p_k=\dfrac16である(k=1,2,3,4,5,6)ことを示せ.

(1)
引き分けになるのは2人が同じ目を出した場合で,2人がともにkの目をだす確率はp_k^2であるから,
P=\displaystyle\sum_{k=1}^6p_k^2
(2)
\displaystyle\sum_{k=1}^6p_k=1なので,
0\leq\displaystyle\sum_{k=1}^6\left(p_k-\frac16\right)^2=\sum_{k=1}^6p_k^2-2\sum_{k=1}^6\frac{p_k}6+\sum_{k=1}^6\left(\frac16\right)^2=P-\frac16
従ってP\geq\dfrac16で等号成立はp_k=\dfrac16(k=1,2,3,4,5,6)となる.