shaitan's blog

長文書きたいときに使う.

2022年4月第1週 ―電線のたるみと実長の式―

■今週の写経ピックアップ

うさ太郎さんは電験の問題を写経している(えらい)



■今週の箱庭数学*1

さて、この電線のたるみと実長の近似式を導出してみたいと思う。
問題設定として、高低差のない支持点間に電線が張られるという状況を考える。径間をS、電線の単位長さあたり荷重*2W、水平方向の張力をT、電線の実長をLとする。
このとき、長さの次元を持つ適当な定数Cを用いて無次元化すると、電線の形状はy=\cosh xと書ける*3。位置xにおける傾きは\sinh xであるから、実長は\displaystyle\frac LC=2\int_0^{\frac S{2C}}\sqrt{1+\sinh^2x}\mathrm{d}x=2\sinh\dfrac S{2C}である。
端点における張力の水平成分、垂直成分はそれぞれT, \dfrac{LW}2であるから、張力の傾きは\dfrac{LW}{2T}、これは端点における電線の傾き\sinh\dfrac S{2C}に等しい。
これらよりC=\dfrac TWとなる。
従ってたるみは\dfrac DC=\cosh\dfrac S{2C}-1=\cosh\dfrac{SW}{2T}-1となる。
ここで、端点における電線の傾き\sinh\dfrac{SW}{2T}は十分小さい、つまり\dfrac{SW}{2T}\ll 1として、coshをTaylor展開して二次の項まで取る*4と、D\approx\dfrac{S^2W}{8T}が得られる。
また、sinhをTaylor展開して三次の項まで取ると、実長の近似式L=2C\sinh\dfrac S2\approx S+\dfrac{S^3}{24C^2}\approx S+\dfrac{S^3}{24}\cdot\left(\dfrac{8D}{S^2}\right)^2=S+\dfrac{8D^2}{3S}を得る。

■今週の出来事

本日(4/2)は誰とは言わんが誕生日らしい*5。めでたい。そのお方*6にこの記事を捧げる。


うさ太郎情報室(二次創作)でした。

*1:物理といった方が適切か。この手の呼称の問題には深入りしない。

*2:重力のみ考える。

*3:座標は良い感じに取ったことにする。

*4:懸垂線を放物線で近似することに相当。

*5:いいね欄、ではなくホームを見に行こうとして気付いた。

*6:日本の宝