shaitan's blog

長文書きたいときに使う.

名古屋大2007年後期理学部問題3

2007 名古屋大学 後期理学部MathJax
[解1]
どの2点を通る直線とも垂直にならないように平面上にx軸を取る。各点のx座標の小さい方から順に2点ずつ組にすれば線分は交わらない。


[解2]
n本の線分の長さの総和を考える。組の作り方は有限なので、長さの総和には最小値が存在する。この最小値を与える組では線分は交わらない。
以下、それを示す。最小値を与える組を考え、そのうちの任意の二本の線分(AB、CDとおく)を考える。
四点A,B,C,Dが一直線上にある場合、ABとCDが共有点を持たないような組であるときに線分の長さの和が最小になることが明らかである。
四点A,B,C,Dが一直線上にない場合、ABとCDが共有点Pを持つと仮定すると、三点ADPとCBPのいずれかは三角形を作るので、三角不等式よりAB+CD=AP+PB+CP+PD>AD+CBが成り立つが、これは最小値を与える組であることに反する。
以上より示された。


問題文を「平面上の『相異なる』2n個の点」、「交わる」は「共有点を持つ」と解釈した。仮に出題者の意図が「点は同一の可能性もあり、『交わる』とは端点以外で共有点を持つことをいう」であれば完全に読み違えたことになってしまうが。



[2024.2.10追記]
この手の問題は普通はどの3点も同一直線状にないものだが、受験生に場合分けをさせたかったのだろうか。以下の類題はいずれもその条件が付いている。
2023年の浅野中学校入試問題として解2の方針の誘導付きのものが使われている*1
点が2種類に分けられており、異種の点同士でなければ組にできないという条件を付けた問題もある。この問題は1979年に開催された40th William Lowell Putnam Mathematical Competition の Probrem A4で出題されており*2、また、2016年に企業が採用活動の一環としてこの問題を出題している*3。この条件が付くと解1の方針では解けなくなるが、解2の方針ならほぼ同様に解ける。点の数の帰納法を使ってもよい*4のだが、さすがにそれと比べると解2の方がエレガントである。