shaitan's blog

長文書きたいときに使う.

一橋大2022年前期問題5



1回目は箱を無作為に選ぶので、p_1=q_1=\dfrac12である。

(1)
n回目に白が出たとき、次に箱を変えて赤が出る確率は箱を変えずに白が出る確率に等しい。
n回目に赤が出たときのことも併せて考えると、p_{n+1}n+1回目に(必ずしも規則に従わずに)n回目と同じ箱から引いた場合にn回目と同じ色の玉が出る確率に等しい。
これはどちらの箱であるかに依存せず、\dfrac23\cdot\dfrac23+\dfrac13\cdot\dfrac13=\dfrac59である。
したがって p_n=\begin{cases}\dfrac12&(n=1)\\ \dfrac59&(n>1)\end{cases}.

(2)
1回目に\dfrac23の確率で赤玉2つと白玉1つの箱を、\dfrac13の確率で赤玉1つと白玉2つの箱を選び、2回目以降は(2)の条件で操作を行ったときに、n回目に赤が出る確率をa_nとする。
このとき、2回目に選ばれる箱が赤玉2つと白玉1つの箱である確率は \dfrac23\left(\dfrac23+\dfrac13\cdot\dfrac12\right)+\dfrac13\cdot\dfrac23\cdot\dfrac12=\dfrac23 であるから、a_nnによらず、a_n=a_2=\dfrac23\cdot\dfrac23+\dfrac13\cdot\dfrac13=\dfrac59n=1のときも成立)である。
さて、q_nを何回目で初めて赤が出るかに分けて考える。
k回目で初めて赤が出る確率は、k-1回目まで白が出続け、k回目で赤が出る確率であり、それまで箱は無作為に選ばれ続けるので \dfrac1{2^k}.
また、初めて赤が出たとき、それが赤玉2つと白玉1つの箱である条件付き確率は\dfrac23であるから、このn-k(>0)回後に赤が出る確率はa_{n-k}=\dfrac59である。
以上より、q_n=\dfrac59\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}\dfrac1{2^k}+\dfrac1{2^n}=\dfrac59\left(1-\dfrac1{2^{n-1}}\right)+\dfrac1{2^n}=\dfrac59-\dfrac1{9\cdot2^n}.
これは n=1 のときも成り立つ。



漸化式を避けてみた。
(2)は赤玉2つと白玉1つの箱から始めてn回目に赤が出る確率x_n、赤玉1つと白玉2つの箱から始めてn回目に赤が出る確率y_nとすると、\begin{bmatrix}x_{n+1}\\y_{n+1}\end{bmatrix}=\dfrac16\begin{bmatrix}5&1\\2&4\end{bmatrix}\begin{bmatrix}x_n\\y_n\end{bmatrix}なので、対角化して\begin{bmatrix}2x_{n+1}+y_{n+1}\\x_{n+1}-y_{n+1}\end{bmatrix}=\begin{bmatrix}1&0\\0&\frac12\end{bmatrix}\begin{bmatrix}2x_n+y_n\\x_n-y_n\end{bmatrix}を得る。これをそのまま解答にすれば分かりやすいが、この第一成分を解答に使っている。